最終更新日 2024年2月27日
「インプラントの歴史が知りたい」
「インプラントのメリットとデメリットが知りたい」
「現在インプラント治療を考えている」
歯科治療でおこなわれるインプラントはなにかの理由で歯を失ったときに、その代わりとして人工の歯を埋め込む治療です。
もともと医療器材を人体に埋め込むことの総称で、心臓に埋め込むペースメーカーや人工関節なども該当します。
歯科で用いるものは歯科インプラントといわれますが、普及に伴いインプラントといえば歯科に用いられるものという認識が一般的です。
目次
インプラントの歴史
新しいもののように思われがちですが、その歴史を振り返ると古代ローマ帝国時代の遺骨や南米でも見つかっていることからかなり前から歯科治療に用いられていたことがわかります。
現在につながる治療は1901年に歯科医師が白金イリジウム製のものを考案し、その後改良され1913年代には現代に通じるものが生まれています。
現在治療に用いられているものは、1950年代にチタンと骨が拒否反応を起こさず結合する事実が発見されたことによります。
その後、研究を経て1960年代から人への応用が始まり、今に至ったいきさつがあります。
インプラントの構造
インプラントの構造は3つから成ります。
失った歯の顎の骨に埋め込む人工歯根、その上に取付ける土台、そして上に被せる人工歯です。
顎の骨に埋め込む人工歯根やその上に取付ける土台の素材は多くのメーカーがチタン、もしくはチタン合金を採用しており、その理由は人体との親和性が高い、金属アレルギーをおこしにくいなどの理由です。
現在世界に流通しているものは100種類を超えるとされていますが、国内で販売を許可されたものは国内外のメーカー合わせて30社程で、その中でも歴史と実績を考慮して信頼度が高いとされるのは数社に絞られます。
治療方法
実際に歯の治療をするときは、どういう治療が良いのか迷うこともありますが、失った歯の本数や口の状態などで、治療法が違うことを知っておきます。
ブリッジ
従来からある治療法のひとつにブリッジがありますが、これは失った歯の両側の歯を大きく削ることで支えにして、連結された被せ物を接着します。
被せものがブリッジのように見えることからこのように呼ばれますが、利点は入れ歯のようにぐらつかない、違和感がなく安定してものが噛めることです。
ただ問題として支えとなる歯を大きく削るため支えとなる歯に大きな負担がかかり虫歯や歯周病になりやすい、歯のない部分の骨が痩せてくる、被せものが壊れてしまうなどのトラブルが生じる可能性があります。
こうした場合ブリッジが使えなくなることもあるため、その場合は再製作や他の治療法を考えることが必要です。
入れ歯
入れ歯は歯茎だけになった部分に人工の歯を並べたブラスチック製の歯を被せる方法です。
失った歯の本数により部分入れ歯と総入れ歯があり、部分入れ歯は針金を用いて周辺の歯に引っ掛け安定させます。
総入れ歯と比較すると違和感は少ないですが、針金をかける歯の負担になり、周辺部分の衛生を保つのが難しく虫歯になりやすいため早くだめになってしまう可能性もあります。
総入れ歯
総入れ歯は歯が残っていない、歯の根だけが残っている場合に用いられます。
歯茎にぴったり合う形状のものを作り吸着させることで安定させます。
部分入れ歯のようなリスクは少ないですが、違和感は大きく上手くフィットしないと外れやすい、上手くものを噛めない、痛みがあるなどの問題が生じます。
インプラントのメリット
この点、インプラントであれば入れ歯やブリッジのように健康な歯に負担をかけることがないです。
失った歯の代わりに人工歯根を埋め込むため、独立して機能を果たすことができるからで、ものを食べるときも入れ歯を装着しているときに感じるような異物感や味覚障害といったことが起きにくく歯を失う前と同じように食事をすることができます。
また見た目が不自然になることもなく、噛むときの力が土台の骨に伝わるので骨が吸収されて歯茎がやせるといった心配もないと考えられます。
公的医療保険が適用されないので全額自己負担
ただしどんな治療法もそうであるようにリスクもあるので、治療を考えている場合は事前にしっかり理解することが大切です。
まず公的医療保険が適用されないので全額自己負担になることです。
条件を満たせば公的医療保険を適用できますが、一般的には自費診療です。
手術をおこなう必要がある
手術をおこなう必要があることも知っておきます。
治療には顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術が必要なので術後に痛みや内出血を伴うことがあります。
また手術中に血管を傷つければ出血を起こすこともありますし、神経を傷つける可能性もないとはいえないです。
糖尿病や高血圧、骨粗鬆症のような疾患をもっている場合は疾患のコントロールが難しくなるので治療ができないこともあり医師とよく相談する必要があります。
まとめ
費用がかかりメリットだけでなくリスクも伴う治療ですが、適切に手入れをすれば長く使用することができます。
口の中の健康状態は生活習慣によって違いますが、10年後も使用し続けている確率は90パーセントを超えるという結果も出ています。
自宅でおこなうセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアを併用して口の中の状態を良好にすれば、長く持たせることができます。